スーダン暫定政府とイスラエルが国交正常化!? そこにはトランプ大統領の影が...
10/23 トランプアメリカ大統領の仲介のもと、スーダン(暫定政府)とイスラエルの国交正常化合意が行われました。
朝日新聞の記事からです。
「トランプ米大統領は23日、イスラエルとスーダンが関係を正常化することで合意したと発表した。トランプ氏の仲介によるもので、11月3日に迫った米大統領選を前に、新たな外交実績を「歴史的合意」としてアピールした。
ホワイトハウスによると、トランプ氏とスーダン暫定政府 トップのブルハン統治評議会議長、イス…」
今年に入ってイスラエルと国交を正常化した国はUAE、バーレーンに続いて3か国になります。
1956年にイスラエルが建国してからスーダンはイスラエルと対立をしていました。
第三次中東戦争後の1967年には、スーダンの首都ハルツームでアラブ連盟会議が開き、イスラエルと「和平せず、承認せず、交渉せず」の3つのノーを決議しました。
今までイスラエルに対して敵対しているスーダンが今年になり急激に態度が軟化し、国交正常化を合意したのはなぜでしょうか。
それは国際的孤立による経済危機に陥っているからです。
1993年にスーダンはアメリカにテロ支援国家として指定されました。
パレスチナのイスラム組織「ハマス」や9.11事件を起こしたテロ組織アルカイーダに支援をしているとされていたからです。
アメリカのテロ支援国家指定を受け、アメリカをはじめ他の国でもスーダンへの経済制裁が行われ、スーダンは国際的孤立を深めました。
スーダンは外国からの投資、融資を受けられなくなり国内の外貨が圧倒的に不足しました。
その結果、輸入ができなくなり物価が高騰しました。(特に、今年度の食糧価格は前年度の3倍にもなりました。)
スーダンはアメリカに経済制裁を解除してもらうためにテロの被害にあったアメリカ国民の遺族に対して3億3500万ドル、日本円にして350億円を支払うことを条件に解除してもらうことを約束しました。
アメリカがなぜこの条件を認めたかというと、イランの存在があります。
国連安保理決議のイランへの武器禁輸措置が10/18に解除されるため、アメリカはイランへの封じ込めのために中東の国々と協力する必要があったので、スーダンへの経済制裁を解除し、関係修復を行いました。
9月にはバーレーンとUAE(アラブ首長国連邦)がトランプの仲介のもとイスラエルと国交を正常化しており、今年イスラエルと国交を正常化した国はスーダンで3か国目になります。
トランプはイスラエルと国交を正常化する国を5か国まで増やすとしており、その中にはサウジアラビアも含まれるとしています。
核開発行い、人権問題を抱えアメリカと対立するイランへの包囲網をイスラエルとの国交正常化を中東各国に行わせることで実現しようとしているのが分かります。
しかし、スーダンとイスラエルの急激な国交正常化を受け両国内で批判が起きています。
まずイスラエル国内では、パレスチナ自治政府がパレスチナ問題を棚上げにしたことに「非難し、拒絶する」という声明を出しスーダンを批判しました。
パレスチナ自治政府はパレスチナの独立を無くして、中東の平和は訪れないという姿勢を示しています。
スーダン国内では多くの政党から批判がされており、今回のイスラエルとの国交正常化合意は外務省が行ったものであり暫定政府の評議会(議会)で否決することができるとしています。
大きく波紋を広げている今回のスーダンとイスラエルの国交正常化合意ですが、
一番得をしたのはアメリカ、特にトランプ大統領なのではないでしょうか。
イランへの圧力もあると思いますが、スーダンとイスラエルの国交正常化合意を成功させたことは、11月に大統領選を控えたトランプ大統領にとって追い風になることは間違いありません。
実際にトランプは合意が決まった10/23日にイスラエルのネタニヤフ首相に対して「バイデンにはできなかっただろ?」とアピールしました。
今回の合意は中東の情勢だけではなく、アメリカ大統領選挙の結果に大きく影響を与えるこになりそうですね。